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投稿日:2021年01月22日

契約書・規約づくりで心掛けるべきは「中学生でもわかる内容」で作成すること
~会社の「人柄」は書類でわかる~

契約書の目的は信頼を重ねること

契約書や規約には、かならず入れなければならない文言があります。これは、押さえておくべきルールのようなものです。でも、もうひとつ決して忘れてはならないのは、その「目的」です。規約や契約書づくりの目的は、自社の誠実さをあらわして信頼度を上げるということ。規約や契約書などの約束ごとは、そのためにあるのです。

そのように考えると、あまりにも難しい言葉や言い回し、専門用語が並んでいる契約書や規約は目的に沿っていると言えるでしょうか。かならずしもよいものとは言えないと思うのです。ですから、弊社では「契約書=難しい」という考えをまずは払拭することから始めるようにしています。

たとえば、文章を読んだときに、中学生くらいでも理解できるレベルのものを意識すれば、お互いに何を言っているのかわかるでしょう。ですから、どんな内容であれ、難しすぎる言い回しは使わないようにしています。
それに、簡単な言葉で表せるということは、深く理解しているということでもあります。

 

稟議を通しやすい内容であることも大切

さらに、契約書や規約では、「何を目的としているのか」が文書を見てすぐにわかることが大切。実際、目的がわかりにくい契約者や規約がかなり多いのも事実です。

たとえば、「AさんからBさんがものを買って、Bさんがお金を払う」という契約書があるとします。トラブルを起こさないためには、シンプルにサービス内容や補償などを書いておけばいいのです。これを複雑にしてしまうと、そもそも何のための契約書であるかさえわからないといった事態を招くことになりかねません。

もうひとつの大切なポイントが、「稟議が通しやすいかどうか」ということです。
傾向としては、大きなお金が動く契約ほど重要になってきます。
売り手としてスムーズに入金していただくという目的もありますが、これは言い換えれば買い手の稟議が通りやすくなるということでもあります。

一例として、買い手の心象が悪くならないようにするため、否定文ではなく、肯定文で書くことがあります。同じ意味でも、表現方法を変えることで相手の印象は大きく変わるでしょう。

このように、取引先が読んだときの感じ方まで配慮して、稟議が通りやすい契約書にすることが大切です。

 

自社だけでなく、取引先のリスクヘッジも入れる

また、双方のリスクヘッジを考えておかなければ承認にはつながりません。こうした点も配慮したつくりにしたほうがいいと思います。双方にとってwin-winの内容を盛り込むことで、スムーズに進んでいくのです。

これらのことは、一概に「こうすればよい」とは言いにくい部分で、それぞれの会社の規模や決裁権限者のタイプなどによっても変わってきます。
もし、相手先が小さい企業であれば、相手の社長さんを思い浮かべ、その人となりや考えられる意図を想像します。いい加減さが感じられる社長さんであれば、厳しめの条件を具体的に盛り込んでおくことも必要です。

万が一、トラブルが発生した場合でも、しっかりとリスクヘッジできるかどうかを考えて作成しましょう。契約書をつくるときは、お互い「両想い」。つまり、合意しているときなので、関係は良好であることが多いもの。でも、そうではなくなる可能性もゼロではないのです。

 

契約書が必要になるのはトラブルが起きたとき

契約書を使うタイミングは、トラブルが発生したときです。トラブルが起きたときに初めて、お互いに何が書いてあるのかを確認し、双方の弁護士に相談します。契約書というのは、そういうものなのです。ですから、契約書はトラブルが起きたときにどう解決するのかを見据えたものでなければ、署名してはいけません。

理想を言えば、契約書が使われることがないまま何年も経ち、そのまま忘れ去られていくのが一番理想的です。契約書を読み返さなければいけないときには、きっと悲しい気持ちになっているはずです。そして、入っていない文言に対して「お金を取れない」「返金しなければならない」などと一喜一憂するものです…。

弊社では、「これなら30%の返金でいいかもしれない」「相談すればどうにかなるかもしれない」といったトラブル時にご相談を受けることが多いのですが、その材料となるのが契約書です。

契約書や規約は、本来は自社の信頼を約束し、取引先とwin-winの関係を築くためのもの。誰が読んでもわかる内容であることが大切です。そして、万が一のトラブルに備えて、かならずリスクヘッジをしておきましょう。