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投稿日:2021年01月22日

「融資が受けやすくなる」書類のつくり方

かならずつくらなければならない「試算表」「登記簿謄本」「損益計算書&売上計画」

融資を受けるために絶対必要なものは、会計書類です。なかでも、とくに重要な書類は、試算表、登記簿謄本、損益計算書、今後の売上計画書です。
まずは、それぞれのポイントをチェックしましょう。

① 試算表は直近3カ月のものを用意

直近3カ月の試算表は、かならず用意しましょう。これは、融資を受ける、受けないにかかわらず普段からかならずやっておくべきこと。税理士さんがいる会社でも、会計ソフトで記帳をしている会社でも同様です。

 

② 登記簿謄本データの更新

登記簿謄本のデータは、こまめに更新しておくことをおすすめします。登記簿謄本は3ヵ月ごとに失効してしまうので、無駄にしないよう随時更新しておきましょう。

 

③ 損益計算書と売上計画の作成

最後に忘れてはならないのが、会社の売上を確認するための損益計算書(P/L)と、損益計算書をもとに算出した今後の売上計画です。
売上計画にある数字があまりにも根拠のない夢見がちなものでは、金融機関は融資を認めてくれないことがほとんど。自分たちの実態に沿った売上計画をつくることが大切です。

売上計画には、その証拠となる資料の提出も必要です。さらに、その説明ができるということも大切なポイントになります。

通販会社を例にとって考えてみましょう。
通販会社であれば、直接の人海戦術による営業と通販との2本立ての売上があることが一般的です。
その場合、「営業が何人いて。それぞれの売上はいくらか」、そして「通販の売上はいくらか」と考えるのです。
さらに、これまでやってきたこと・今後の展望・社会情勢を考慮した売上構成比の変化を想定し、具体的な戦略とコストを計算して融資額を回収する、といった具合に数字を論理的に組み立てていきます。
わかりやすく、魅力的なストーリーをつくっていくようなイメージでつくることが大切です。

ここまでが、融資の際に絶対に必要な会計書類です。

かならず提出が必要な会計書類に加えて、会社の紹介ができる書類を用意しておくと、よりよいでしょう。会社案内のような冊子でもいいですし、それがなければパワーポイントなどで概要をまとめておく形でも問題ありません。
いまは、ホームページアドレスを聞かれることもあります。

 

「この人は返済してくれるのか?」の問いに答える準備を怠らない

金融機関の人が見ているのは、「貸したお金を回収できるかどうか?」ということです。なぜなら、回収困難になって不良債権になってしまったら困ってしまうからです。

万が一、不良債権になり、保証協会や金融公庫の保証がない融資の場合、金融機関がそのまま損失を請け負うことになります。保証がない融資を「プロパー融資」と言いますが、一般的にこのプロパー融資が出にくいのはこういった背景があるためです。

ちなみに、保証協会や金融公庫に提出する書類は、銀行に提出するものとほぼ同じと考えてよいでしょう。弊社の場合は、このとき売上計画のストーリー、今後の売上につながる見込みのある契約書、具体的な進捗がわかる商談の記録など、事前に提出するように言われていない書類も持参するようにしています。
それは、あとから提出を求められるケースが多いので、事前に提出してしまったほうがよいでしょう。

このように、金融機関では「この人はきちんと返済してくれるのか?」というところを見て、融資の判断をしています。そのとき、重要になるのが「数字」です。
会計書類の提出が必須というのも、うなずけるのではないでしょうか。

そして、数字の次にチェックされるのが、経営者の「人物像」です。
見た目や立ち居振る舞いが相手に与える印象は大きいもの。男性ならスーツ、女性であればスーツでなくてもかまいませんが、相手にきちんとした印象を与えるかっちりとした服装にしましょう。派手すぎず、極端に地味すぎず、といったところです。
このあたりの印象は、職種によっても多少変化があるでしょう。

 

加点できるポイントをいかに増やすかが融資の肝

書類作成や交渉の場でのポイントは、いかに「加点を増やしていくか」ということです。金融機関は、減点法で企業をチェックしています。たとえば、500万円を借りたいという申し込みにあたって、100点満点から始まり70点以上あれば融資をするといった形で判断しているのです。

ホームページがないから-5点、持ち家がなく担保にできないから-5点…といった具合に減点していきます。

では、減点されていった結果68点だとしたら、どうでしょうか?
このようなギリギリのラインの場合、どんな結果になるかは金融機関の担当者の考え次第。「500万円満額とは言わないまでも、400万円なら貸そうか」などと担当者が思えば、融資がおりるでしょう。このときに効いてくるのが、担当者との信頼関係です。

ですから、書類をきちんと揃えて持っていくことや約束の期限や時間を守ることは、当たり前。ひとつひとつのやり取りが、審査に響きます。
ぜひ、ミスがないよう何度もチェックし、印鑑も丁寧に押しましょう。
印鑑がうまく押せなければ、書き直したほうがいいと思います。

細かいことではありますが、こういった点がシビアに見られているのです。融資では、人となりを徹底的にチェックされているのだということを前提に考えておきましょう。

「この人には1円も貸したくない」と思われたら、融資を受けることはできません。金融機関の担当者が書類を預かり、内容チェックをして上司の承認を得るため、担当者に厳しいと思われた時点で終了です…。

担当者は、あなたの応援者になってもらうべき人ですから、相手の立場に立って、小さなことこそ丁寧に行っていきましょう。